経営状況分析(Y点)の指標のひとつ、純支払利息比率は経審の結果に大きく影響しますが、今回この指標をよくするための取り組みについてご説明します。
純支払利息比率の計算式
Y点への寄与度は最高の29.9%であり、中小零細企業にとっては最重要の指標です。
数値が小さくなるほど高得点です。
(支払利息-受取利息配当金)/売上高×100
経営状況分析(Y点)の評点に影響する純支払利息比率
経営状況分析は「つぶれにくい」会社を見分ける手段と言われています。
利息を多く払っている会社は、それだけ利益を圧迫しますので、経営に負担となります。
有利子負債が多いことがY点を下げる原因となります。
しかし、金融機関に支払う利息があっても、逆に、配当金収入により差額がプラスになれば、非常に良い点数を稼ぐことができます。
営業外の費用額で借金の負担がわかります
支払利息は粗利から一般管理費を差し引いた営業上の稼ぎ、つまり「経常利益」から更に引かれる「営業外の費用」です。
営業外の費用は営業外の利益によって帳消しにできます。
つまり、絶対的な利息の額ではなく経営を圧迫する営業外損益が
相対的にどれだけあるかを評価しているのです。
経審対策の事例:銀行借入があるお客様の場合
あるお客様の事例です。
金融機関からの借り入れがあるため、年間の支払利息が相当にある
という会社様でしたが、純支払利息比率の数値は良好でした。
理由は受取利息配当金によって支払利息が相殺されたからです。
配当金の中身は、会社名義で保有する株式からの所得です。
損益計算書の営業外収益に計上されるものです。
会社名義で株式を運用すること自体が良いかどうかは別として、結果、経営状況分析指標をコントロールできていることは確かです。
これも経審対策のひとつと言えます。
損益計算書の勘定科目「雑収入」を確認
受取利息があるはずなのに支払利息との相殺がされていない場合もあり得ます。
その場合は受取利息配当金が損益計算書の「営業外収益」ではなく「雑収入」に計上されていないかを確認してみます。
雑収入に計上されたままの配当金は、経営状況分析で受取利息配当金として支払利息から相殺することができません。
せっかく配当があっても経審ではメリットが得られません。
この場合、事前に顧問税理士の先生に相談をして、決算確定までに会計処理を修正して頂くようにするのです。