専任技術者の条件を満たすことの証明方法としては、資格か実務経験のどちらかです。
提示する書類のパターン
1.国家資格の合格証、カード等のみ
2.国家資格の合格証、カード等+実務経験証明書
3.卒業証明書、成績証明書+実務経験証明書
4.実務経験証明書
それぞれの業種に対応した国家資格(一部は民間資格あり)を取得しているか、学歴に応じた実務経験を積んでいることを裏付ける資料を提出します。
この実務経験ですが、現場の責任者としての立場による経験に限らず、見習い等でも構いません。
役職よりもとにかく現場での施工の経験を重要視しています。
資格があることのメリットは、実務経験がない業種でもついでに許可が取れてしまうことです。
例えば、実務経験としては内装工事だけであっても、仮に二級建築施工管理技士(仕上げ)をお持ちであれば、内装の他に、大工、左官、石、屋根、タイルレンガブロック、板金、ガラス、塗装、防水、熱絶縁、建具、以上の12種類も許可が取れることになります。
資格がとても優遇されていることが分かりますね。
さて「忙しくて資格を取る暇もないよ」とおっしゃる方も多いと思います。
その場合には、次のことを注意しながら「実務経験」を証明することになります。
1.実務経験は「何年」必要なのか?
年数については、原則として1つの業種に対して10年が必要という考え方をします。
例えばひとりの職人さんが仕事についてから15年間、塗装工事と防水工事に携わったとします。この二つの工事は並行して経験している訳ですが、建設業許可の審査となるとどちらか一方で10年間となるため、残りは5年しか経験がない、という解釈になります。先に塗装の経験を優先した場合には、防水の実務経験を証明するのにあと5年先まで待たなければなりません。
原則10年といいましたが、例外としては5年と3年があります。これは許可を取ろうとする業種に関連している学科を高校や大学などで勉強したことを条件として、実務経験の年数を減らしてくれる制度です。
・大学、短期大学、高等専門学校、専門学校(高度専門士課程、専門士課程)3年
・専門学校(専修学校専門課程)、高等学校、中高一貫校 5年
ではどんな学科を卒業していればよいか?となりますが、次のとおりです。
土木工事業・・・土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学
舗装工事業・・・同上
建築工事業・・・建築学、都市工学
大工工事業・・・同上
ガラス工事業・・・同上
内装仕上げ工事業・・・同上
左官工事業・・・土木工学、建築学
とび・土工・コンクリート工事業・・・同上
石工事業・・・同上
屋根工事業・・・同上
タイル・レンガ・ブロック工事業・・・同上
塗装工事業・・・同上
解体工事業・・・同上
電気工事業・・・電気工学、電気通信工学
電気通信工事業・・・同上
管工事業・・・土木工学、建築学、機械工学、都市工学、衛生工学
水道施設工事業・・・同上
清掃施設工事業・・・同上
鋼構造物工事業・・・土木工学、建築学、機械工学
鉄筋工事業・・・同上
しゅんせつ工事業・・・土木工学、機械工学
板金工事業・・・建築学、機械工学
防水工事業・・・土木工学、建築学
機械器具設置工事業・・・建築学、機械工学、電気工学
消防施設工事業
熱絶縁工事業・・・土木工学、建築学、機械工学
造園工事業・・・土木工学、建築学、都市工学、林学
さく井工事業・・・土木工学、鉱山学、機械工学、衛生工学
建具工事業・・・建築学、機械工学
2.実務経験はどんな内容の仕事なのか
では実務経験というが、一体どんな経験を証明すればいいのか?という疑問があるかと思います。
建設業許可の審査でいう実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいい、建設工事の発注にあたって設計技術者として設計に従事し、又は現場監督技術者として監督に従事した経験、さらに作業員、見習いとして現場に従事した経験も含みます。ただし雑務のみは経験に入りませんので注意が必要です。
3.どんな書類が必要になるのか
①技術者、技能者または見習いとして携わった工事の内容を証明するもの
②その工事の際に常勤していたことを証明するもの
①工事の内容については、大きく分けて3種類あります。
「請負契約書」 建築一式工事の場合には更に建築確認も必要です。
「注文書プラス請書控え」 請書は写しを取っていない時は通帳も必要です。
「請求書プラス通帳」請求を月でまとめている場合はその一覧も必要です。
②その時に常勤していたかどうかは、いくつか選択肢があります。
会社に勤めていた時は、健康保険証、厚生年金の回答票、源泉徴収票及び所得証明書、役員なら法人税確定申告書の別表1及び役員報酬の内訳書、住民税特別徴収の決定通知書、以上のいずれかがあれば良いです。個人事業主であれば確定申告書及び所得証明書があれば良いです。
当然ですが、証明しようとする期間のすべてについて必要です。
もう一度、おさらいます。実務経験を証明するために注意しなければならないこと。
1.実務経験の年数は何年あればよいか?足りているか?
2.実務経験の仕事の内容は取りたい許可業種と合っているか?
3.年数と内容を証明する書類は揃えられるか?
確認してみてください。