建設業経理士に関する規則の改正とW点への影響

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経営事項審査のW点(社会性等)で評価項目となっている建設業経理士についての解説です。W点はW1~W8まで項目があり、その中のW5が「建設業の経理に関する状況」です。W5は「監査の受審状況」と「公認会計士等の数」を点数化し、加算することで点数が決まります。

(1)監査の受審状況

①会計監査人を設置:20点
②会計参与の設置:10点
③経理処理の適正を確認した旨の書類の提出:2点
④上記いずれもなし:0点

③の“適正確認ができる者”の要件
 ・公認会計士であり、研修を受講した者(公認会計士の登録が必要)
 ・税理士で研修を受講した者(税理士の登録が必要)
 ・1級登録経理試験に合格した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者
 ・1級登録経理講習を受講した年度の翌年度の開始の日から5年経過していない者

(2)公認会計士等の数

公認会計士などの「経理処理の適正を確認できる者」と、2級登録経理試験合格者の人数をもとに点数を算出します。算定式は次のとおりです。
(公認会計士等の数)×1 + (2級登録経理試験合格者)×0.4
ここでいう「公認会計士等」に該当するのは、前の項目で説明した“経理処理の適正を確認できる者”と同じ要件を満たす方になります。また、「2級登録経理試験合格者」に含まれるのは、次のいずれかに該当する方です。
 ・2級登録経理試験に合格した年度の翌年度の開始日から5年以内の者
 ・2級登録経理講習を受講した年度の翌年度の開始日から5年以内の者
上記の式で算出した数値を、次に示す「公認会計士等点数算出テーブル」に当てはめることで、実際の点数が決まります。 

平均完成工事高
(億円)
10点8点6点4点2点0点
600以上13.6以上10.8以上
13.6未満
7.2以上
10.8未満
5.2以上
7.2未満
2.8以上
5.2未満
2.8未満
150以上600未満8.8以上6.8以上
8.8未満
4.8以上
6.8未満
2.8以上
4.8未満
1.6以上
2.8未満
1.6未満
40以上150未満4.4以上3.2以上
4.4未満
2.4以上
3.2未満
1.2以上
2.4未満
0.8以上
1.2未満
0.8未満
10以上40未満2.4以上1.6以上
2.4未満
1.2以上
1.6未満
0.8以上
1.2未満
0.4以上
0.8未満
0.4未満
1以上10未満1.2以上0.8以上
1.2未満
0.4以上
0.8未満
0.20
1未満0.4以上0.20

建設業経理士とは

建設業経理士とは、建設業に特化した経理知識や処理能力を証明する資格です。
建設業の経理は一般企業とは異なる点が多く、専門的な知識が求められるため、この資格の取得は会社の信頼性アップにもつながります。建設業経理士・経理事務士に関する試験は次のとおりです。

建設業経理士検定試験(1級・2級)
建設業法施行規則第18条の3に基づく「登録経理試験」として実施されています。

建設業経理事務士検定試験(3級・4級)
こちらは(一財)建設業振興基金が独自に実施している試験です。

経営事項審査(経審)との関係
1級・2級建設業経理士に合格すると、合格した日から5年を経過する日が属する年度の年度末まで、経営事項審査の「公認会計士等の数」で評価されます。ただし、この評価期間が過ぎた後は、「登録経理講習」を修了することで、再び評価対象としてカウントされる仕組みになっています。
以上、一般財団法人建設業振興基金ホームページより転記しました。
建設業経理検定についてはこちらの記事をご覧ください。

経審で評価の対象となる資格は?

経審では1級または2級の建設業経理士合格者が評価の対象になります。また施行規則の改正により、経審の審査基準日(決算日)の時点で合格日から5年を経過する場合には、前もって登録経理講習を受講することが義務付けられました。
(建設業経理士のほかに、登録された公認会計士、税理士の研修受講者も評価の対象です)

評点の計算方法
先ほども少し触れましたが、ここでは 「公認会計士等の数」 の評点について、もう少し詳しく説明します。経審では、次の式でまず「合計数」を求めます。
 1級建設業経理士の人数 × 1
 2級建設業経理士の人数 × 0.4
この2つを合計したものが、審査に使われる「公認会計士等の数」となります。

合計数 × 年間完成工事高 で評点が決まる
算出した合計数と、年間完成工事高の金額を組み合わせることで、最終的な評点が決まります。
例えば、年間完成工事高が2億円、2級建設業経理士が2名の場合、評点は8点になります。完成工事高が大きくなるにつれ、加点は小さくなっていきます。(上記の会社の年間完成工事高が10億円では、評点は4点に下がります)それではW点における8点は実際、P点に換算される際に何点分になるのでしょうか?

総合評定値(P点)では何点アップするのか

P点の計算式は次のとおりです。
総合評定値 P=0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W
W点がP点に占める割合は、上記の計算式では僅か15%です。そうすると、先ほどの事例では8点×0.15=1.2点になってしまうのか?と考える方もおられると思いますが、そうではありません。全体のバランスをとるために、W点を集計する際もうワンステップ計算があります。

W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9+W10)×10×190/200
上記のとおり、W点の合計数に「10×190÷200」という係数をかけるのです。これにより、先ほどの8点はW点の集計時に76点、P点換算時に11.4点になります。
おさらいします。年間完成工事高が2億円、新しく2級建設業経理士2名が合格された会社さんは、次の決算を迎えるとP点にして11点アップします。
建設業経理検定についてはこちらの記事をご覧ください。

W点の計算式について

W点(社会性等)の計算方法は、審査基準日によって計算式が異なる点に注意が必要です。令和5年8月に制度改正があり、それ以降は係数が変わっています。

審査基準日が令和5年8月13日以前の場合
W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9+W10)× 1900 / 200

審査基準日が令和5年8月14以降の場合
W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9+W10)× 1750 / 200
W点全体の詳しい解説はこちら

評点の対策として

すでに資格をお持ちの方は、経審の審査基準日(決算日)の時点で合格日から5を経過する場合には、前もって登録経理講習を受講することが義務付けられました。
令和5年3月31日までは特例措置として5年を経過していても加点の対象になっていました。4月1日以降はそれもなくなりますので、決算日を迎える前の受講を忘れないようにしてください。
登録経理講習の申し込みは、一般財団法人建設業振興基金ホームページから行えます。名称は建設業経理士CPD講習です。

建設業経理士は、技術職員より効率的に点数が取れる
先ほどの事例では2名、2級に合格することで11点を獲得することができました。同じ点数を技術職員で獲得するには、2級の施工管理技士に4名合格しなければなりません。年間完成工事高が2億円の会社で新たに4名の2級施工管理技士が増えるというのは、あまり現実的な話ではないと思います。
一方、技術職員の方が建設業経理士を兼ねることはできます。毎日の業務に忙しい従業員さんのなかで、試験勉強に取り組めるという方は限られていると思います。この資格への取り組みは、有効な評点対策のひとつになるのではないかと思います。

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    • Z点
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この記事を書いた人

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塩﨑 宏晃

2003年行政書士登録。
建設業許可・経営審査業務の実務経験19年。
行政書士業務を通じて現場で働く方の縁の下の力持ちとなることがモットーです。
近年は建設キャリアアップシステム、特定技能ビザにも取り組んでいます。
お客様は一人親方、サブコン、地方ゼネコン、上場メーカーなど様々。
毎年200社以上のお客様と直接お会いし、ご相談を承っています。
2023年から申請のオンライン化が本格スタートしますので、
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