経営事項審査のW点(社会性等)で評価項目となっている建設業経理士についての解説です。
建設業経理士とは
建設業経理検定試験とは、建設業経理に関する知識と処理能力の向上を図るための資格試験です。
「建設業経理士検定試験」(1級、2級)は、建設業法施行規則第18条の3に基づく「登録経理試験」として、
また、「建設業経理事務士検定試験」(3級、4級)は(一財)建設業振興基金独自の試験として実施しています。
なお、1級及び2級建設業経理士検定試験に合格した者は、その合格した日から5年を経過する日が属する年度の年度末までは、経営事項審査における「公認会計士等の数」において評価されています。この期間を経過した後は、「登録経理講習」を修了することで評価対象となります。
以上、一般財団法人建設業振興基金ホームページより転記しました。
経審で評価の対象となる資格は
経審では1級か2級の建設業経理士合格者が評価の対象です。
また施行規則の改正により、経審の審査基準日(決算日)の時点で合格日から5年を経過する場合には、前もって登録経理講習を受講することが義務付けられました。
(建設業経理士のほかに、登録された公認会計士、税理士の研修受講者も評価の対象です)
評点の計算方法

1級建設業経理士の人数×1
2級建設業経理士の人数×0.4
このふたつの数値を合計したものを合計数とします。
更に合計数と年間完成工事高の数値によって評点が決まります。
例えば、年間完成工事高が2億円、2級建設業経理士が2名の場合、評点は8点になります。
完成工事高が大きくなるにつれ、加点は小さくなっていきます。
(上記の会社の年間完成工事高が10億円では、評点は4点に下がります)
それではW点における8点は実際、P点に換算される際に何点分になるのでしょうか?
総合評定値(P点)では何点アップするのか
P点の計算式は次のとおりです。
総合評定値 P=0.25X1 +0.15X2 +0.2Y+0.25Z+0.15W
W点がP点に占める割合は、上記の計算式では僅か15%です。
そうすると、先ほどの事例では8点×0.15=1.2点になってしまうのか?
と考える方もおられると思いますが、そうではありません。
全体のバランスをとるために、W点を集計する際もうワンステップ計算があります。
W=(W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9+W10)×10×190/200
上記のとおり、W点の合計数に「10×190÷200」という係数をかけるのです。
これにより、先ほどの8点はW点の集計時に76点、P点換算時に11.4点になります。
おさらいします。
年間完成工事高が2億円、新しく2級建設業経理士2名が合格された会社さんは、次の決算を迎えるとP点にして11点アップします。
評点の対策として

すでに資格をお持ちの方は、経審の審査基準日(決算日)の時点で合格日から5年を経過する場合には、前もって登録経理講習を受講することが義務付けられました。
令和5年3月31日までは特例措置として5年を経過していても加点の対象になっていました。
4月1日以降はそれもなくなりますので、決算日を迎える前の受講を忘れないようにしてください。
登録経理講習の申し込みは、一般財団法人建設業振興基金ホームページから行えます。
名称は建設業経理士CPD講習です。
先ほどの事例では2名が2級に合格することで11点を獲得することができました。
同じ点数を技術職員で獲得するには、2級の施工管理技士に4名が合格しなければなりません。
年間完成工事高が2億円の会社で新たに4名の2級施工管理技士が増えるというのは、あまり現実的な話ではないと思います。
一方、技術職員の方が建設業経理士を兼ねることはできます。
毎日の業務に忙しい従業員さんのなかで、試験勉強に取り組めるという方は限られていると思います。
この資格への取り組みは、有効な評点対策のひとつになるのではないかと思います。
ご不明の点、もっと詳しく知りたい点などありましたらお気軽にご連絡ください。
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