完成工事高(X点)の計上における工事完成基準と工事進行基準の違い

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完成工事高(X点)の計上における「工事完成基準」と「工事進行基準」の違い

完成工事高とは、完成した工事の売上高のことです。一般の業種では「売上高」という表現ですが、建設業の会計では「完成工事高」と呼ばれます。

工事完成基準とは?
物品の販売やサービスの提供など一般の売り上げと少し違い、建設業の完成工事高は注文者と結んだ1件の請負工事が完成して注文者に引き渡した時点で売り上げとして発生します。これを工事完成基準と呼びます。
完成して引き渡し、が重要なポイントとなるため、支払いをするための完成検査や届け出、竣工式などを実施したとしても、その後に主要な工事が継続する、仮設物の撤去がある、修繕が必要となる、など注文者への引き渡しができない状態が解消されるまでは収益として計上できません。

工事進行基準とは?
一方、工事が1年以上に渡って続く長期工事の場合には、工事完成引き渡しまで収益の計上ができないとなると、会計上さまざまな不都合が生じてきます。この場合、事業年度の終了時に一旦締めて、工事の進捗に合わせて完成工事高を計上することも認められています。これを工事進行基準と呼びます。
事業年度末に未成工事となっている案件について、工事進捗を見積もり、収益の一部を当期の損益の計算に計上します。全体の工事請負金額を期中の工事原価の割合に沿った金額に案分したものを完成工事高とします。また税務上は部分完成基準というものも存在します。

部分完成基準とは?
1件の請負工事であっても、その工事の一部が完成し引き渡した時点でその割合に応じて工事代金を支払う旨の約束や慣習がある場合がそれにあたります。おそらく一般的にはこの部分完成基準に基づく取り引きが多く使われているのではないでしょうか。

部分完成基準が適用される条件について(引用:国税庁)
(1)一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
例えば、100戸の建売住宅の建設を請け負った際に、1戸を引き渡す都度工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合である。

(2)1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合
例えば1,000メートルの護岸工事を請け負った際に、そのうち100メートルごとに完成した都度引渡しを行い、その割合に応じて工事代金を収入する特約又は慣習がある場合である。
尚、もし完成工事高に計上されていない時点(完成引き渡し前)に注文者から受領した請負代金は、貸借対照表の未成工事受け入れ金として計上されます。決算書上は流動負債になるのです。単に取引先との約束だけではなく現場の出来具合が当期の売り上げに影響してくるのが建設業の特色です。

建設業許可の要件 財産的基礎について

建設業許可を受けるためには、許可要件を備えていること、欠格要件に該当しないことが必要です。許可の要件は6つありますが、その中の「財産的基礎」について解説していきます。

(1)経営業務の管理責任者
(2)専任技術者
(3)財産的基礎
(4)社会保険加入
(5)独立した営業所
(6)誠実性、欠格要件に該当しないこと

建設業許可を取得するには500万円の資金調達能力、または自己資本額を有している必要があります。これは、建設業許可業者として、下請けや仕入先に対して約束した金額を支払う責任を負うためです。500万円の支払い能力を証明する方法はいくつかあります。

すでに自己資本(純資産)が500万円ある場合
1番新しい決算書・税務申告書の内容でそのことを証明できます。

自己資本(純資産)が500万円ない場合
取引先金融機関で残高証明書または融資証明書を発行してもらいます。
個人事業者で、自己資本が500万円あることについては、一番新しい所得税確定申告書に添付した貸借対照表のなかの「元入金」で確認します。確定申告書は青色申告をしていて65万円の特別控除の適用を受けていることが証明するための条件になっています。白色申告や、青色申告でも65万円の控除を受けられない会計の方法で申告をしている場合には、元入金での証明はできません。
また許可を受けて5年後に申請する更新許可の場合には、例え、自己資本が500万円を下回っていたとしても、代わりに残高証明書・融資証明書を提出する必要はありません。毎年、変更届を提出し、許可を継続していた実績で認められます。残高証明書については、証明している残高日から1か月以内、融資証明書については証明日から1か月以内に申請しないと有効期間が切れてしまいます。融資証明書については、証明書に有効期間が記載されている場合には、その有効期間が優先されますので、どう書いてあるのか確認が必要です。

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この記事を書いた人

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塩﨑 宏晃

2003年行政書士登録。
建設業許可・経営審査業務の実務経験19年。
行政書士業務を通じて現場で働く方の縁の下の力持ちとなることがモットーです。
近年は建設キャリアアップシステム、特定技能ビザにも取り組んでいます。
お客様は一人親方、サブコン、地方ゼネコン、上場メーカーなど様々。
毎年200社以上のお客様と直接お会いし、ご相談を承っています。
2023年から申請のオンライン化が本格スタートしますので、
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