未成工事受入金の増加はY点の点数を下げる

経審(経営事項審査)のY点は経営状況について評価をする項目です。「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」の4つについてそれぞれ2指標ずつ合計8指標からY点を算出します。今回は建設業特有の「未成工事受入金」について解説をしていきます。

 

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なぜP点が下がったのか?

今年の経審をシミュレーションしたところ、メインとなる業種で昨年よりも数十点下がってしまうことが判明しました。完工高は昨年と同等、技術職員に変化はなし、社会性にも変化はなし、という条件です。昨年と一つだけ違うのは、Y点の負債回転期間でした。負債回転期間はY点の中のX2の項目です。

 

負債回転期間の中身

負債回転期間の計算式は (流動負債+固定負債)÷売上高÷12 です。
金融機関からの有利子負債は、前前年度からのコロナ関係融資のみで増えていませんが、ほかに流動負債で昨年と異なるのは、数千万円にのぼる未成工事受入金の存在でした。

未成工事受入金は、工事の完成が翌期に繰り越される現場が多い時ほど増加するものです。工事進行基準を採用していなければ、未成工事に関する入出金は損益計算書に反映されません。経審においては評価を押し下げる性質のものであることに注意が必要です。

また、「未成工事受入金」とは建設業特有の勘定科目となりますが、他にも建設業特有の勘定科目がありますのでご案内をしていきます。

 

建設業に特有の勘定科目について

損益計算書

 ・完成工事高:建設業の売上金額
 ・完成工事原価:完成工事にかかった直接の費用(材料費・労務費・外注費・経費)

貸借対照表

 ・完成工事未収入金(資産):完成工事高に計上した請負金額のうち未だ回収できていないもの
 ・未成工事支出金(資産):完成工事高に計上していない工事について支出した費用
 ・材料貯蔵品(資産):使われていないためまだ費用にあがっていないが手元にある、工事用の材料、消耗品、工具備品、事務用品など
 ・建設仮勘定(資産):工事中の自家用の固定資産のために支払った費用
 ・機械運搬具、工具器具備品(資産):建設機械、車両、耐用年数が1年以上の工具や小さな機械 
 ・工事未払金(負債):完成工事高に計上した工事に支出した費用うち支払いが済んでいないもの
 ・未成工事受入金(負債):完成工事高に計上していない請負金額のうち先に受領したしたもの

 

貸借対照表の資産である、未成工事支出金に入れた支出は、決算をした期中には費用になっていません。支出した現場を完成工事高として計上していないためです。その現場が完成工事として処理したときに、資産から損益計算書の完成工事原価に振り替えられて、費用になります。

貸借対照表の負債である、未成工事受入金に入れた収入は、決算をした期中には完成工事高にも費用にもなっていません。その現場が完成工事として処理したときに、負債から損益計算書の完成工事高と完成工事原価に振り替えられます。

収益の計算基準は、工事完成基準と工事進行基準の2つがありますが、一般的なのは工事完成基準です。工事が完成した時をもって、売り上げと費用を計上します。完成前に受け取ったり、支払ったりしたものについては、貸借対照表の未成工事の科目に入れておいて後で処理をしています。

決算期をまたいで注文された仕事が完了することは、建設業によくあります。そこで上記のような勘定科目が必要となります。

 

まとめ

未成工事受入金は特に公共工事において受注量が多いほど増加する科目です。資金繰りを改善する手立てですので、経審のためにこれを意図的に減らすことは本末転倒です。ただ負債回転期間の指標を改善する手立ては他にもありますので参考にしてください。

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この記事を書いた人

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塩﨑 宏晃

2003年行政書士登録。
建設業許可・経営審査業務の実務経験19年。
行政書士業務を通じて現場で働く方の縁の下の力持ちとなることがモットーです。
近年は建設キャリアアップシステム、特定技能ビザにも取り組んでいます。
お客様は一人親方、サブコン、地方ゼネコン、上場メーカーなど様々。
毎年200社以上のお客様と直接お会いし、ご相談を承っています。
2023年から申請のオンライン化が本格スタートしますので、
これを機に遠方のお客様ともご縁を頂ければと考えております。